論文、どうやって書いていますか?
今回は趣向を変えてみました。
最近「論文の書き方」みたいなメルマガを購読してみているのですが、そこに書いてあることに全然agreeできなかったので記事にしてみました(その著者の方へ反論したい訳ではないです)。
そもそも論文の書き方なんてセオリーなんてないと思いますが、皆さんはどうされているでしょうか。
ここでは、参考までに自分の考えを紹介してみながら、効率的な論文の書き方を考えてみました。
先行論文を30本読め?
よく「論文を書く前に先行論文をXX本読め!」といった類の主張を目にしますが、これはdisagreeです。
1,2本、自分がやりたいこととかなり似ているのを見つければOKだと思います。
そもそも「その疑問が研究として妥当か」を見極めるのはかなり難しく、初学者にはほぼ不可能だと思います。
つまり与えられたお題をやるしかない場合がほとんどです。
それで問題ありません。
そして論文を書くにあたっては、似ている論文を見つけるのが超重要です。
30本読んでも、おそらく意味ない場合がほとんどだと思います。
そんな覚えられないし、重要度を判別するのも難しいです。
そうではなく、似ている論文で「どのような流れで仮説を検証してconclusionにたどり着いているか」を意識し、基本的にはそれを踏襲するのが近道だと思います。
まずは解析を終わらせる
当然まずやるべき事は、論文を書く事でなく、解析を終わらせる事です。
おそらくメインの解析を終わらせて、色々と意見をもらい、解析を追加する、というのがよくある流れでないでしょうか。
メインの解析さえ終われば学会発表はできるので、これが一区切りです(当校では、学会発表でもらった意見をもとにreviseする、ということを日常的に行います。なぜなら意見をくれた人はその分野の専門家である可能性が高く、専門家が抱く普遍的な疑問点である可能性があるからです)
メインの解析をどうやれば良いか?ということは書ききれないので割愛します。
反響がありましたらいつか書きます。
論文執筆はまずIntroductionから
自分の場合は、まずIntroductionを書きます。
ここが面白いかどうかで論文の質が決まると思っています。
流れはこんな感じです。
1:当たり障りのない一般論(肥満が問題だ、をfancyに書く)
2:specificな論点にfocusする(肥満に関連するmetabolomicsが最近研究されている)
3:knowledge gapを明確にする(肥満をBMI以外の指標で定義した研究がない、先行研究はサンプルサイズが概して小さい)
4:aim(〇〇という大規模コホートで、DEXAなどで定義した肥満とmetabolomicsの関連を調べた)
*具体例は適当です。
初学者は、Introductionを書きながら、それに関連する「impact factorの高い雑誌に載った」論文をscreeningするのがよいと思います(自分もそれやります)。
なおPubmedでimpact factorでfilteringできる優れもののchrome extensionがあるので、おすすめです。
次はMethodを書く
次はMethodを書きます。
基本的に、自施設の先行論文を参照するのがセオリーです。
一から書くのはなかなか大変ですし、おそらく誰もそんなことしていません。
ポイントはstatistical analysisのパートです。
これは自分がやった解析を、その順に(ある程度要約して)書いていけばOKです。
ですので、自分はResultを書きながら加筆していっています。
次はResult
Resultはメインの解析が終わっていれば簡単に書けます。
ポイントは「resultにはresultしか書かない」ということです。
少し入り組んでくると方法論や考察を書きたくなるのですが、それは極力排除するのがセオリーです。
(でも書いちゃうこともなきにしもあらず)
Resultを書きながら、TableとFigureをきちんとしたフォーマットでまとめます。
最後にDiscussion
Discussionにハードルを感じる方は多いと思いますが、headerさえ明確にすれば大丈夫です。
一段落:resultのまとめとinterpretationを一言
二段落:メインの主張とそれに関連する論文との比較(参考文献はintroductionにciteしたものがほとんど)
三段落:プラスアルファ議論したいこと
四段落:strengthとlimitation
こう考えると、頭を捻って決めるべきポイントはかなり少ないのがわかります。
Discussionでのポイントは「今回の結果の解釈とfuture direction」です。
それ以外のことは削りましょう。
例えば、「Introductionで言ったことをDiscussionでも言う」というのはredundantなのでバツです。
一番大事なのはpeer reviewのプロセス
慣れてくれば、解析を終えてから1st draftを作成するのに1週間くらいとなります。
自分はそれぞれのsectionごとに1日かけるようにしているので、だいたい4日くらいで書きます。
でもそれでおしまいでなく、重要なのはpeer reviewのプロセスです。
これに数ヶ月かける場合もあります。
言わずもがな、共著者全員が何かしらのコメントを遠慮なく言えるのがベストです。
日本だと恐縮してコメントしないケースが多くあると思いますが、それは論文のためにはなりません。
たくさんのコメントを吟味して(当然後輩からのコメントも含めて)初めて質が上がるものだと思います。
もし全然コメントしてくれる人がいない環境であれば、
・学会発表
・論文投稿
を通じてもらったコメントを吟味する姿勢が大事かと思います。
特に論文でreviewにまわったけどrejectされたケース(よくあります)、そのままreviseしないで違う雑誌にsubmitしてないでしょうか。
自分は以前これをやっていたのですが、これは最悪でした。
当然reviewerにも質がありますが、一人が思う事は他の人も思います。必ずコメントに目を通し、改善できる箇所は改善しましょう。
結論
自分の論文の書き方は、
メインの解析→Introduction→Method→Result→Discussion→Peer review
です。
先行論文を読むのに頑張りすぎないようにしましょう。
ご意見、感想、批判などありましたらコメントいただけると嬉しいです!
ではまた!
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