こんにちは、Rikです。
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今回の論文は、JAMA Internal Medicineより:
Association of Telomere Length With Risk of Disease and Mortality
テロメアが短いと死亡率が高い、というまことしやかな噂の検証です。
US Biobankを使っておりNが多いのが特徴。
✔︎テロメア?
テロメアとは、染色体の端っこにあるDNAで、染色体をダメージから守るものです。細胞分裂するたび、ダメージが加わるたびに短くなっていくので、短いと死亡リスクが高い、と噂されています。
実際いくつか科学的に検討されてきましたが、Nが少なかったりfollow期間が短かったりと、やや微妙なものでした。
そこでN=470000のUK Biobankでやったみた、というわけです。
✔︎どういう研究?
PheWASといってGWASみたいなものですが、要はたくさんのoutcomeをいっぺんに見て、multiple testingをBonferroniで調整しました、というものです。
UK BiobankではoutcomeはICD-10でcodingされているらしく、1847のoutcomeを検討しています。
基本的には、COX proportional modelをつかって, age, sex, BMI, raceで調整したのだと思われます。exposure = テロメアの長さ(per SD)、です。
✔︎結果は?
死亡のHR = 1.08 (1.07, 1.09)でした。
PheWASでは、100-200くらいのoutcomeが「有意に」関連していました。
Tobacco use disorder
Postinflammatory pulmonary fibrosis
COPD
とか呼吸器系のリスクが高かったようです。血液系の疾患も。
色々感度分析もやっています。詳しくはmain paper参照のこと。
✔︎解釈は?
この研究で言えるのは当然associationなので、どういう価値があるのか考えてしまいます。
Authorも言ってますが、テロメアはいろんな疾患リスクと関連がある、以上のことは言えません。
しかも1SDの差でHR=1.08って、かなり微妙じゃないですか。。
CRPだって高ければいろんな疾患リスクが高いわけで、死亡リスクなんかはCRPの方が強く反映するかもしれない(調べてないですが)。
テロメアは大衆うけは良さそうですが、実用性はどうなんでしょう。
また、このbiomarkerのcausalityを仮に示したとしても、あまり意味がなさそうです。
というのは、テロメアの長さを長くする(短くしない)interventionがあってこそのcausalityの意味なので、それなしでは意味ない。
(そもそもbiomarkerのcausalityを示すのはとても大変です)
テロメアが意味を持つ可能性があるとしたら、テロメアでしかわからない情報があるかどうか、ということでしょう。
つまりprediction modelをつくってNRIやIDIの評価を行う研究です。
そのうちやりたいと思っています。
✔︎まとめ
テロメアはいろんな疾患リスクと関連性がある。以上。
でもJAMA Internal Medicineに掲載されれば、研究者としては満足。
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